いつもより静かなる朝むかえたりカーテンを開け雪景色見る

見なれたる景色はふいに純白の世界に変わる夢見るように

降り積もる雪眺めつつ静謐(せいひつ)な時を愛しみ珈琲を飲む

 同じことを言葉に綴るのと歌を詠むのとでは差異がある。きっかけは短歌の掲示板に、hikeさん(ご自分のHPでは雅鬼さんというHNを使っておられます)が、とても素敵な歌を書き込んでくださって、おりしも雪の降る朝、すっかり刺激されてしまい三首の歌が生まれてきた。

 今日は以前、詠んだ歌にもう一度、目を通してみた。歌はその時の情景や心のありようまでも、よみがえらせるから不思議である。面映い気がするが、少しご紹介したいと思う。

黄昏に細き三日月輝やけり切られた爪の形のように

何気ないひとことゆえに幸せはほんのりとある心のうちに

月面を望遠鏡で見たならば傷つきし跡まざまざとあり

傷つきし跡ありてなお輝やけり月光の美は哀しさを知る

惑星に寄り添うような衛星のありて覚えん星の寂しさ

太陽と月と地球と生命とつながりて在るすべてのものは

ちっぽけな我在りていま星を見る生まれた訳を求めるために

真夜中に「月光」を聴く、もの思う吾の問い探す月のなき夜

かの人の曲を愛しむ我なれば寂しき心また愛しかり

沈黙の世界が生んだ魂の叫びに耳を傾けており

マニュキアを塗りたる我の選びたる曲に染まらん爪の先まで

薄桃が乾く間流る「田園」の旋律に酔う十本の指

「人びとよ抱き合おう」と語りたるシラーの言葉響いており

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