奇跡〜本当は13人いる女子十二楽坊〜
2004年2月4日 妙なる調べめったにCDを買うことはない。レンタルすれば済むし、気に入ったCDを購入し続ければ、本と同じ様に置き場所にも困ってくる。でも時には、どうしても欲しくなる時もある。先日、女子十二楽坊のセカンドアルバム「奇跡」を衝動的に買ってしまった。北京21世紀劇院で行われたコンサートを収録したライブDVD付きだったからだ。
デビューアルバム「女子十二楽坊〜Beautiful Energy〜」が大ヒットし、日本のCMやテレビに出演するようになった。初めて見た時は、その演奏技術の高さに驚いた。調べてみると、メンバーの一人一人が中国のいろいろなコンクールで優秀な成績を収めている。プロの楽団員であったり、学生であったりするが、伝統音楽を大切に守ってきた中国、そして、この国の一人っ子政策が若き天才たちを輩出しているのかも知れない。
ご存知の様に昨年、大晦日に行われたNHKの紅白歌合戦にも出場、これは中国でも大きく報じられたそうである。武道館のコンサートではチケット発売数分で完売してしまったそうだし、女子十二楽坊の活動の場は、これから、様々な国に広がっていくだろうから、ますますチケットは手に入らなくなるだろう。
「奇跡」の中で気に入っているのが、『新古典主義(組曲)』モーツァルトやベートーベンの交響曲、ロッシーニの歌劇「セビリアの理髪師」序曲である。聴き慣れているメロディが実に斬新である。DVDでは彼女たちの指先の華麗な演奏をまじかに楽しめた。
女子十二楽坊はその名の通り、12名のメンバーで演奏している。前列左右に笛の2人、前列中に二胡組4人、第2列に琵琶組3人、後列に琴組3人がいる。本当は13人いるというのは、二胡組で、実際は5人いるが、そのうち4人が出演する。プロの楽団で演奏するメンバーのスケジュールの調整などのためもあるかも知れない。
好みは人それぞれだと思うが、ニ胡、琵琶、笛、揚琴、琴の中では、やはりニ胡に一番魅力を感じる。宮尾登美子の小説「一弦の琴」(直木賞受賞)を彷彿とさせる。いま日本で一弦琴を演奏する人はどれぐらいいるだろうか。もはや一弦琴は消えゆく運命のように感じてならない。日本にも雅楽や、その他さまざまな伝統音楽がある。女子十二楽坊のように新しい世界を開拓する時が来ているのかも知れない。
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