花でふと思い出したのが、この「花束のように抱かれてみたく」である。短歌と文が俵万智で写真が稲越 功一の二人の手による文庫本である。

 この本がどこにあるのか、わからずに探すのに手間取った。久しぶりに開くと美しい写真と短歌に思わずため息がこぼれた。花が好きな友人にプレゼントした記憶もある。花の歌、花にまつわるお話、花の紹介、花の美しい写真、366日の誕生花に花言葉、とにかく花の情報も満載で、いろいろな意味で入門書かも知れない。

 短歌も素敵。気どりのない、さらりとした歌で心地よく響いてくる歌ばかりだ。俵万智はわたしが歌を詠むきっかけを与えてくれた歌人なので、あの頃の気持ちがよみがえり、懐かしいようで新鮮な気分になった。

 いま歌を詠んでいて歌とは何だろうと反芻する日々だ。これで良いのかという迷いがいつもついて来る。苦しみながら詠んだ歌は自分でも良くないと思う。それよりも、素直な感動を詠んだ方が、ずっと人の心に届くものかも知れない。でも、その「素直な」というのが、また意外に難しくも感じる、この頃・・・スランプだね。

ISBN:4041754054 文庫 稲越 功一 角川書店 2000/04 ¥630

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