谷川俊太郎に一度だけ出会ったことがある。その時のことは、すでに書いたので、ここでは割愛する。

 ところで、谷川俊太郎の詩集を初めて買ったのは、この「空の青さをみつめていると」である。文庫本なので他の詩集よりは手軽に購入できるし、何よりも内容が濃い。

 作品のほとんどが初期のもので、わたしが生まれるずっと前のものだ。ようやく谷川俊太郎が、この詩集を書いた年齢を越えたというのに、わたしは彼の作品を超える詩を何ひとつ書いていない気がする。

 この詩集の中に「62のソネット」が収録されている。ソネットと言えば立原道造が有名だが、彼の透明な清涼感あふれる美しさとは反対に、心の内から、どうしようもない叫びが聴こえてくるような気がする。

 わたしもソネットを書いた。20作まで書いて挫折した。あまりにお粗末で話にならなかった。この詩集を開いて読むたびに、未熟な自分を自覚せざるを得ない。この事実は哀しい。

 それでも、最近、もう一度、ソネットに挑戦してみようかなと思っている。納得のいく作品を書こうと思ったら、これから先、何年かかるか、わからない。わたしは哀しいほどに非凡な詩人なのだ。
 

ISBN:4041285011 文庫 谷川 俊太郎 角川書店 1985/08 ¥525

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