わたしは宗教は信じない。宗教そのものを信じられないのではなく、宗教を信じている人が信じられない。でも、何人かの尊敬できる人はいる。その中のひとりがマザー・テレサである。

 マザー・テレサが偉大であったのは、どの宗教の人にもわけへだてなく手をさしのべて、その人が亡くなったときには、その人が望んだ方法で葬儀を行ったこと。

 また何年か前のテレサの葬儀には、インドのたくさんの宗教の人たちが集い、それぞれの方法(宗教)で彼女を見送っていたのが印象的でした。本当の平和のありかたをテレサは身をもって示したように思う。

 いまユダヤ教、キリスト教、イスラム教は同じ聖地を互いに奪い合っているように思える。もともとは、ひとつだったものが、いつしか異なる宗教に枝分かれして争いあっている。本当に不思議。

 わたしは宗教は信じないけれど、マザー・テレサの行ったことは信じる。本物の愛は、それぞれの人が信じるもの(宗教)の垣根を超えて存在するのでは、ないでしょうか。けれど、テロが起こるたびに、こみあげてくる悲しみを、どうやって止めたらよいのか、わからなくて、テレビの報道を見ながら、涙が止まらぬことがよくある。

ISBN:4569574556 文庫 渡辺 和子 PHP研究所 2000/09 ¥500

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