加藤諦三(かとう たいぞう)先生の本を好んで読んだ時期があった。「せつなさ」の心理も、その中の一冊である。

 加藤先生は東大を卒業し、同大学院を卒業。その後、たびたびハーヴァード大学研究員としてアメリカに滞在された。

 しかし華々しい経歴の影で、先生自身が、どの人にも共通する苦悩や葛藤を心に抱いておられた。この本の中で、それらを隠すことなく、赤裸々に語り、また誰にもわかる優しい言葉で語りかけておられる。

「ああ、なるほど、そういうことだったの」と自分にあてはめて考えさせられる言葉がたくさんある。

 愛する人、愛するものとの別れ、そして、別れから生まれる、せつなさ、さみしさ・・・そういう感情を、どうしたら良いのか、わからずに苦しんでいる人へのお薬のような本です。

ISBN:4569570909 文庫 加藤 諦三 PHP研究所 1997/12 ¥500

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