海峡の光

2004年12月11日 読み終えて
 辻 仁成は「海峡の光」で芥川賞を受賞しています。

 この小説を読んでいて、主人公や登場人物の描写が、あまりにリアルなので、本当にこれは小説なのだろうかと疑うほどでした。非常に緻密に調べ上げ構成された結果、生まれてきた作品なのではないでしょうか。まだ読んでいない作品は多いけれど、辻 仁成の小説のなかで、一番輝いている様に思います。

 江國香織があとがきにこう記しています。

「私は辻さんの言葉のあつかい方に、いつも胸を打たれる。熱心に遊ぶ子供みたいに、自由に情熱をこめて、辻さんは言葉をあつかう。その純粋さとアバンギャルドさ。結果として、そこには信じられないくらい忽然と、詩情が立ち現れたりする。
 詩情。
 わたしは辻さんの小説の、そこに一番惹かれる。」

 わたしも江國さんが伝えようとしていることが、良くわかります。

ISBN:4101361274 文庫 辻 仁成 新潮社 2000/02 ¥380

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