雪のひとひらは、はるかな空の高みで生まれます。
彼女は空から舞い落ちるとき、こう語ります。

「わたしって、いまはここにいる。けれどいったい、もとはどこにいたのだろう。そして、どんなすがたをしていたのだろう。どこからきて、どこへ行くつもりなのだろう。このわたしと、あたりいちめんのおびただしい兄弟姉妹たちをつくったのは、はたして何者だろう。そしてまた、なぜそんなことをしたのだろう?」

 人生という旅の始まりに、彼女は思います。それは、わたしの中の心の叫びと奇妙に交錯します。わたしが森羅万象に思いを馳せるのもそのためです。

雪のひとひらが考えたように「わたしたちはどこからきて、どこへいこうとしているのでしょう?」

 みなさんにも「雪のひとひら」をお薦めします。この本を読まれれば、わたしも彼女と同じ体験をしたと感じるかたも、おられるでしょう。未知の世界のベールを開ける人もいるかもしれません。これから読まれる方のために、これ以上、話の内容に触れるのはやめますね。

「雪のひとひら」は童話とも思えるようは内容ですが、平易な言葉の中に実は、とても深い人生観が内包されています。新潮文庫のものはイラストも非常に綺麗でまた短い内容なので贈り物にも良いかも知れません。

ISBN:4102168036 文庫 矢川 澄子 新潮社 1997/11 ¥460

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